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株式会社ヒューマンインタフェース代表取締役 小畑 貢 が使い手の世界についてのお話をお送りします。
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私の血圧計体験-3

ひとりのユーザーとして上腕式血圧計に望むこと

(1)
幅の狭い腕帯も選べるように

上腕式血圧計では腕の曲がりシワの線から23㎝離して腕帯を巻くように指示されています。しかし、私は身長が低く腕の長さも短いのでこれを守ろうとするととても苦労するし現実には不可能に近い。子供の場合は対象外かもしれないが、高齢化が進むと人々はだんだん身長が低くなる。身体的条件のためにとても使いにくい思いを受け入れなければならないというのは許容てきない話です。ユーザーの努力や慣れで解決できない問題だからです。


靴は足のサイズに合わせて自由に選ぶことができます。身体に装着する道具は是非、ユーザーにフィットするものを選ばせるようにして欲しい。血圧計を使うたびに血圧を測るのが苦痛になっては困る。山形医療技術専門学校理学療法学科、高橋玲子さんたちが発表した報告によれば腕帯の幅は上腕周径の40%程度が望ましいと言われているとのこと。私の場合に当てはめると私にとっての適切な腕帯幅は11.4㎝ですが現実に使っている腕帯の幅は14.5㎝と3㎝も幅広です。


ひょっとして、今でも自分に合った腕帯を選ぶ手段があるのであればメーカーや販売している人たちは是非、そのことをユーザーに知らせる努力をして欲しい。

(2)できることなら腕帯を巻いたときにOKNGかを知りたい
これは作り手にとっては無理な注文かもしれません。NGであれば加圧後に「エラー」表示してやり直しを促すというやり方でも我慢できないというほどではない。しかし、ユーザーの感覚としては腕帯を巻き終えた段階で知りたい気持ちが生じてしまう。その段階でわかれば、腕帯巻きつけOKNGとの差異を認識しやすく学習が進むことにつながると思います。

(3)電池交換時期を事前に知らせて欲しい。
携帯電話は画面を見るといつでも電池残量が表示されています。携帯電話は何処でもコンセントから充電できるが血圧計は規格の合う電池を購入しなければなりません。旅行先にも持って行き毎日血圧を測る私にとって急に電池が無くなるのはとても困ります。日本国内でもいつでも何処でも電池を買える場所ばかりではない。電池残量が残り少なくなっていますよと表示してくれれば安心できます。

(4)ユーザーが楽しく血圧を下げるのを応援して欲しい。

血圧計を使い始めて4年、その間毎日欠かさず血圧を測り毎月病院の先生に1か月間の血圧測定結果を見てもらっています。その結果、はじめは170くらいあった高血圧が今ではすっかり落ち着いた状態になりました。私自身、血圧計とよい関り方ができて高血圧も抑えられ、よい状態にすることができたと感じています。


よい結果を得ることができたのはなぜだろうと自問自答すると、きちんと薬を飲み、塩分を控えるなど少しは生活に気をつけて毎日きちんと血圧測定を繰り返す中で、血圧が見る見る下がっていく実感を持てたことが一番大きかったという気がします。注目すべき時期は4つありました。

最初の時期
私が血圧計を購入し血圧を測り始めて1ヶ月間くらいの時期に、はっきりと血圧が低下しました。170台後半からたまに180台だった高血圧が、1か月の間にみるみる下がりました。医師の指導で血圧降下剤を毎日飲むようになったのだから当然と言えば当然ですが、高血圧症の患者だった私はこの期間に毎日きちんと薬を飲むことの効果を目の当たりにして、血圧測定が苦痛ではなくある意味で楽しみに感じられるようになったと思う。
2つ目の時期
それから目立った血圧低下がないままの時期が2か月くらいあって4か月目に入る辺りからもう一段の血圧低下が現れてきました。季節的にも春の暖かな日々が続き血圧が140を下回る日が増えていきました。このころの私は、毎日の測定結果をPCに入力して月間の日々の推移、月毎の推移をグラフで確認できました。そのグラフをプリントして病院に持って行き、医師に渡すと「順調に回復していますよ」と褒められました。この経験がよかったと思う。
3
つ目の時期
自分の血圧が下がってきたのに合わせて、それまで飲んでいた薬の効き目が強すぎてなんとなく心臓の変調を感じた時期です。この頃は、それまで常に安定して60台だった心拍が50台になる日がちらほらと現れて、それを医師に示すことで確信をもって弱い夏用の薬に変更できたと思います。ネットで調べると心拍数の正常範囲は609060より少ない状態が続くと、めまいや心不全の原因になることもあると書いてありましたから、私が心拍数の低下に気づけたのはとても重要なことだったのかもしれません。
4
つ目の時期
弱い夏用の薬のまま12月、1月の冬を迎え、薬を以前の強い薬に戻さなくてもよいかどうかを気にした時期です。この時期を弱い薬のまま乗り越えれば自分の身体が健康に近づいたことになる。そういう意味でこの冬の時期はたまに150台とかの高い血圧であっても、思い当たる原因(前の晩夜更かし、風邪気味など)があれば安心できました。

患者の血圧コントロールを助けてくれる血圧計

3つ目の時期くらいからPC入力は止めてノートに記入するだけ、朝晩の2回計測も朝1回だけになりました。いまでは薬を飲んで体調を整えていれば血圧は120台で安定しています。振り返って、4年間も毎日毎日、血圧を測定しノートに記入し続けられたのは最初と2つ目の時期の経験がよかったのだという気がします。


最初の時期は日々の変化を見て納得し、数ヶ月後の時期にはひと月の間に160を越えた日がなくなったとか、150台の血圧の日が何日あったのかとか、月間の最高血圧がどう低くなったかとか、月間の平均の血圧がどう下がったかといった成績を見て「よし」と納得し、面倒なことと思わずに楽しく続けることができたのだと思います。PCに入力しなくても、これと同じような情報をユーザーに提供し患者が楽しく血圧をコントロールできるように応援する血圧計があったら使ってみたいと思います。


                                        終り








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プロフィール

HN:
小畑 貢
性別:
男性
職業:
ユーザビリティ・コンサルタント
自己紹介:
株式会社ヒューマンインタフェースの代表取締役 小畑 貢です。

弊社はユーザビリティ評価及び関連サービスを提供しています。
市販の商品や開発途中の試作品(ソフトウェア含む)を対象に、一般ユーザーが使用する様子を観察、分析し、ユーザーがどの程度使うことができるか、何を改良するべきかを提案します。

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